原子1~3層の厚みしかない事実上の“2次元(2D)材料”を組み合わせることで、桁違いの性能を持つデバイスが続々と登場する可能性が出てきた。例えば、フレキシブルで羽衣のように薄い超高性能マイクロプロセッサーやセンサー、大面積で超高効率のLEDや太陽電池などである。

 2D材料の代表先駆けであるグラフェンは、数多くの優れた特性を持つことから夢の材料といわれてきた注1)。しかし、1点だけ大きな課題があった。バンドギャップがほぼ0だったことである。電極材料やアナログ素子向けには使えるが、論理回路向けには利用が難しかったわけだ。

注1)例えば、グラフェンの理論的なキャリア移動度は100万cm2/Vsと非常に高く、しかも電気伝導率は銅(Cu)の約100倍で、熱伝導率や機械的強度はダイヤモンド並みに高いといった点である。