米University of California, Berkeley校(UC Berkeley)、米University of Colorado、米Massachusetts Institute of Technology(MIT)の研究者は、データを光信号で入出力するマイクロプロセッサーを試作した。電気と光の融合回路は、光トランシーバーなどでは製品が既にあるが、マイクロプロセッサーのような大規模回路では初めて。開発者らは、光入出力を備えたプロセッサーが将来の技術ではなく、既に利用可能な技術であることを示せたとする。

メモリー帯域問題を軽減

 このマイクロプロセッサーは、オープンソースとして開発されているマイクロアーキテクチャ―の「RISC-V」に基づくCPUコア、オンチップメモリーとして1MバイトのSRAM、最大送信容量550Gビット/秒、最大受信容量900Gビット/秒の光送受信回路を6mm×3mmのSiチップ上に集積したもの(図1表1)。製造プロセスは、45nm世代のSOI-CMOSである。

RISC-V(Reduced Instruction Set Computing - five)=マイクロプロセッサーの命令セットアーキテクチャー(ISA)の1つ。UC Berkeleyの研究者がオープンソースの形で開発している。
図1 100対超の光送信回路と光受信回路をプロセッサーと混載
図1 100対超の光送信回路と光受信回路をプロセッサーと混載
UC Berkeleyなどが開発した光入出力機能を備えるマイクロプロセッサーのダイ写真を示した。光トランシーバーはテスト用も含めると約110対ある。プロセッサーのアーキテクチャーはRISC-V、1MバイトのSRAMを主記憶として用いている。(写真:Chen Sun/UC Berkeley)
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表1 プロセッサーの構成や諸性能
表1 プロセッサーの構成や諸性能
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 入出力インタフェースを光にできると、マイクロプロセッサーのメモリー帯域の課題が大きく軽減する可能性が高い。最近のプロセッサーは、DRAMをチップ上に混載したり、大容量DRAMをプロセッサーに近接させて配置することで、メモリー帯域を確保しているが既に限界に近い。容量が約100Gバイト/秒前後の電気伝送配線は伝送距離が非常に短いからだ。光伝送にすることで、伝送距離上の制約が消えれば、メモリーの数や配置に大きな自由度が生まれる。