開発した一円玉大(20mm角)の振動発電デバイス。
開発した一円玉大(20mm角)の振動発電デバイス。
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 一円玉ほどの大きさで、身近にある振動から、従来よりも1桁大きな1mWの電力を発生する。このような振動発電デバイスを、空調・冷熱分野の制御機器などを手掛ける鷺宮製作所、東京大学、静岡大学が共同開発した。内蔵する0.4gの重りに周波数500Hz、加速度0.996Grmsの振動を加え、1.01mWrmsを発電することを確認した(図1)1)。2018年の実地試験、2020年の量産化を目標にする。

図1 1G弱の振動から1mW強を発電
図1 1G弱の振動から1mW強を発電
開発した振動発電デバイスの発電特性と構造の模式図。発電特性は、周波数500Hzの振動を、加速度を変えて測定した。(図:鷺宮製作所など1)
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 さらに発電能力を高めた次世代技術の開発も進めており、2020年に同一寸法で10mWを実現させ、2020年代の実用化を目指す(図2)。

図2 10mW級が視野に
図2 10mW級が視野に
エレクトレットによる振動発電技術の進化を示した。従来技術では、既存の研究発表成果を対数グラフ上に直線で外挿している。今回の技術は同じ傾きで10倍、次世代技術は同じ傾きでさらに10倍の発電能力になるようにシフトさせた。今回の技術で2020年の開発目標としていた能力を既に達成した。研究を統括している年吉洋氏(東京大学生産技術研究所教授)は、イオン液体による次世代技術で2020年に10mW以上の実現も十分可能とみている。なお、エレクトレットの形成などは、静岡大学の橋口原氏(電子工学研究所教授)、デバイスの設計試作は鷺宮製作所が担う。一連の成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託により2016年から実施中の「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」の1テーマ「超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究開発」(技術研究組合NMEMS技術研究機構が受託、研究開発責任者は東京大学生産技術研究所教授の藤田博之氏)で使う。(図:東京大学など)
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