【技術】ルネサス、AIを使って異常検知するソリューションを開発

 ルネサス エレクトロニクスは、産業用ネットワークの末端機器において人工知能(AI)による高度なデータ処理を可能にするソリューションを開発した。2016年度下期(同年10月以降)に顧客への提供を開始すると発表。現場に近いPLC(Programmable Logic Controller)など末端機器のデータ処理性能を高めることで、リアルタイムでの異常検知や予兆保全を実現できるという。

 同社は、CPUやリアルタイムOS、産業用Ethernet通信機能などを統合的に扱う「R-INエンジン」と呼ぶLSI技術を有する。このR-INエンジン向けに新たな人工知能モジュールを開発することで、R-INエンジンを適用した産業用LSIでさらに高度なデータ処理をできるようにする。

 現在、グループ会社のルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング(本社茨城県ひたちなか市)の那珂工場で、人工知能モジュールを備えた新開発のR-INエンジンを試験運用している。半導体製造プロセスのプラズマエッチング装置でプラズマ発光の状態をリアルタイムで監視し、人工知能によって異常を検知する。新開発のR-INエンジンでは、波形のパターン全体について正常/異常を人工知能に学習させることで、異常の検知率が従来(ベテラン技術者)の約6倍に向上した。波形のサンプリング周期についても、従来の秒単位から50m秒ぐらいでのサンプリングが可能になり、より正確な検知ができるという。

【新製品】ばら積み状態の薄い板金を認識する画像システム

 産業用ロボット向けの3次元形状認識システムを手掛けるベンチャー企業である三次元メディアが、同システム「3次元ロボットビジョンセンサ TVSシリーズ」の新製品「TVS3.5」を発売した。ばら積み状態となった、厚さが1mmと薄い板形状のワークでも正確に形状を認識でき、ロボットと組み合わせることでピッキングすることができる。

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 ばら積み状態のワークをピッキングする場合、ワークがどこにあり、どのような向きで配置されているかをロボットに認識させる必要がある。新しい3次元形状認識システムは、ワークのエッジの検出に点群情報を利用することにより、厚さが1mmの薄い板金のようなワークでもエッジの検出が可能になった。

 これに対して従来は、画像処理によりカメラ撮影した画像からワークのエッジを検出し、そのエッジ情報とパターン照射により観測した点群情報を重ね合わせることで、ワークの位置や姿勢を認識していた。そのため、薄い板金のようなワークの場合、重なってしまうとワークのエッジを検出することが難しかった。