【動向】三菱重工が大幅な組織改編へ、MRJはCEO直轄に

 三菱重工業が発表した2016年4~9月期の連結決算は、前年同期比で売上高が7%減の1兆7505億円、営業利益が67%減の384億円となった。とりわけ業績不振が著しかったのが交通・輸送ドメインで、「民間航空機と商船は緊急だ。すぐにも対策を立てないといけない」と同社の社長兼最高経営責任者(CEO)である宮永俊一氏は会見で強調した。同社は今後、「大幅な組織改編により、効率化と強化を進める」(同氏)という。現状の4ドメイン(交通・輸送、エネルギー・環境、防衛・宇宙、機設・設備システム)を、原子力関連や航空機エンジンなどの「パワー」、製鉄機械や船舶エンジニアリング、化学プラント/オイル&ガスなどの「インダストリー&環境・社会システム」、米Boeing社など民間航空機メーカー向けの部品などの「航空・防衛・宇宙」の3セグメントに再編するという案をブラッシュアップする形で、2017年4月の組織改編を進める計画だという。

 さらに「一番の問題であるMRJはCEOの直轄にして全社支援体制でやる」(同氏)ことも明らかにした。狙いは「プロジェクトに対するネガティブな印象がある。三菱重工としての決意とプロジェクト縮小ではないことを示したい」(同氏)ためだという。MRJは2018年半ばにも全日本空輸(ANA)に引き渡す予定だが、遅れが懸念されている。「型式証明の取得に必要な作業に要員と時間が予想以上にかかっている。経験不足は否めないので、米国人の経験者を増員している」(同氏)と述べた。