【動向】スズキの小型車技術、月へ

 スズキは、宇宙開発ベンチャーのispace(本社東京)が運営する月面探査チーム「HAKUTO」とコーポレートパートナー契約を締結した。HAKUTOは米Google社が主催するロボット月面探索レース「Google Lunar XPRIZE」に挑戦している。同レースのミッションは、月面に民間開発のロボット探査機(ローバー)を着陸させ、500m以上移動して高解像度の動画や静止画データを地球に送信すること。このミッションの達成に向けて、スズキはHAKUTOが開発中のローバーへの技術支援を検討する。

 同レースのミッションを達成するには、打ち上げ費用に影響するローバーの軽量化や、月の表面にある「レゴリス」と呼ばれる軟らかい堆積層の上をスリップすることなく走行できる走破性が大きな課題とされている。スズキは、小型自動車や4輪駆動車の開発で培った軽量化技術やトラクション制御技術を生かし、HAKUTOのミッション達成を支援するとしている。

 HAKUTOは、日本で唯一Google Lunar XPRIZEに参加しているチーム。ベンチャー企業や大学などから、さまざまな人材が集まってチームを構成している。

【技術】生産ライン版「太鼓の達人」、NECの作業検証用VR

 「アーケードゲームの『太鼓の達人』のような感じでライン作業を学べます」──。NECソリューションイノベータ(本社東京)は、仮想現実(VR)を利用した生産現場の作業検証システム向けに新機能を開発した。HMD(ヘッド・マウント・ディスプレー)を装着したユーザーが、3Dモデルで構築した仮想空間の生産ラインで作業を訓練する際に、ベテラン作業者の特徴の要点やリズムを学習できる。

 HMDの画面下部に映し出された右手・左手の動作タイミングチャートに合わせて作業を進めると、タイミングが合えば「OK」、遅れると「Slow」といった表示が現れる。これによって決められたタクトタイムでの作業訓練ができる。具体的にはセンサーを付けたベテラン作業者の動きを何度か計測・データ化し、それを分析することで動きの特徴点のようなものを抽出する。「ワークをつかむ/はなす」といった分かりやすいものから、「手を迂回して動かす」「ゆっくり慎重に動かす」といった微妙なものまで、動きの特徴が自動的に分析できるという。この特徴的な動きを左右の手それぞれについてタクトタイムに沿って表示することで、VR上での作業訓練が可能となる。