【技術】熱流で振動検出、デンソーが工場向けセンサー開発

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 デンソーは、高感度・薄型をうたう熱流センサー「RAFESPA(ラフェスパ)」について、振動検出に用いる応用例を「第31回エレクトロニクス実装学会春季講演大会」(2017年3月6~8日、慶應義塾大学矢上キャンパス)で紹介した。工場においてコンベヤーベルトの張力の異常を検出したり、ワークの移動を検知したりといった、いわゆる工場のIoT(Internet of Things)化に活用できる。

 RAFESPAは、同社のプリント基板一括積層プロセス「PALAP」における接合ビア形成技術を応用したもの。プリント基板のビアの代わりにBi-Te(ビスマス-テルル)系熱電変換素子を設けることで、センサー上下面の温度差を起電圧に変換し、熱流として計測する。空気やゴム、樹脂などが圧縮・膨張変形するときに生じる微小な発熱・吸熱を同センサーで検知する。

 例えば、コンベヤーベルトに付ければ振動の波形の乱れとして異常を検出でき、ゆるみなどベルトの寿命に関わる状況を把握できる。また、ワークの移動を振動によって検出すると、光センサーよりも検知時間を短くでき、サイクルタイムの短縮につながると期待する。

【動向】ハノーバーの「CeBIT 2017」、目玉は自動運転バス試乗

 2017年3月20日から5日間開催されたITソリューションに関する国際展示会「CeBIT 2017」の舞台となった「ハノーバー見本市会場」(ドイツ・ハノーバー市)は、総面積およそ100万m2 、27のホールを持つ巨大展示場である。このうち半数以上のホールを使用し、「Digital Business Solution」「Big Data&Business Intelligence」「ERP& HR Solutions」「Business Security」「Communication & Network」など17のテーマ、3300もの企業・団体の製品、サービス、技術を展示した。

 多彩な展示の中で、来場者にとって目玉の1つとなったのが、スイスのバス事業者大手のPostBus Switzerland社による自動運転コミュニティーバス「SmartShuttle」の走行デモンストレーションである。フランスNavyaTechnology社製の11人乗りの電気自動車で、運転席はない。

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 CeBIT 2017来場者は申し込めば誰でも試乗でき、1台が前に停まっていると後続のバスが自動的に停止する様子などを体験できた。2016年夏からスイスのSion市の公道1.6kmを使った実証実験を繰り返しており、そこでの1万6000人ほどの試乗者からは高評価を得ているという。