【技術】富士重工の新プラットフォーム、ハイテンの使用比率63%に

 富士重工業は、現在開発を進めている次世代プラットフォーム「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」を公開した。2025年までの車両に使うことを想定したもので、まず2016年後半に世界で発売する次期「インプレッサ」に採用。その後、他の車種にも順次採用していく計画だ。

 同社はボディーの下部(アンダーボディー)をプラットフォームと呼んでいる。今回公開したSGPは、フレームの屈曲部分をなくしてなだらかな形状にした他、高張力鋼板(ハイテン)の使用比率(質量比)を63%に増やした(現行プラットフォームは55%)。これにより、プラットフォームの質量を現行プラットフォームと同程度に抑えながら、衝突時のエネルギー吸収量を40%高めた。使用した高張力鋼板の内訳は1.5GPa級のホットスタンプ材が7%、980MPa級の冷間プレス材が1%、590MPa級の冷間プレス材が40%、440MPa級の冷間プレス材が15%である。

 1.5GPa級はフロント・バンパー・ビームやフレームの一部などに、980MPa級はリア・バンパー・ビームなどに使った。590MPa級を使ったのはサイドシルやフロント・サイド・メンバーなどである。

【動向】3D設計、設計の難しさで標準品と個別設計を区別

 ターボ機械を設計・製造する荏原エリオット(本社千葉県袖ケ浦市)は、PLM/ERP連携システムを稼働させたのを機に、受注生産品を効率的に3D設計する取り組みについて明らかにした。受注した案件の設計を開始する時点で部品表(BOM)をPLMシステムに登録し、このBOMに対して部品の3Dモデルを追加して設計を完了させる。

 同社は顧客からの受注後、要求仕様に応じて個別に設計・生産する。製品は個々に仕様が異なるが、製品の構成は共通する場合が多いことから、各部品の具体的な形状を設計(詳細設計)する前に構成を決定できる。こうして決定した製品の構成情報をPLMシステムに登録し、以後は、このBOMを枠組みとして部品の詳細設計を進めていく。

 構成部品の詳細設計では、標準部品を使う場合と個別に設計する場合がある。この区別は、どのような仕様(受注案件)においても統一している。標準部品として決めてあるのは、品質や安全性の確保における難易度が高く、設計が難しい部品だ。顧客の要求仕様に対して最も適切な標準部品を選ぶ。

 標準部品を適用しない部分は、仕様ごとに新部品として設計する。一定範囲内であれば形状を変えても、品質を保てることが分かっている部品だ。