2014年6月、東京都内において、充電中の電動アシスト自転車のバッテリーパックが発煙・発火するという事故が発生した。発火に気づいたユーザーはバケツに水を張り、炎を上げているバッテリーパックを浸漬。すぐに火は消え大きな被害には至らなかったが、周囲が焼損し、所有者は軽い火傷を負った。

 電動アシスト自転車のバッテリーパックが発火・発煙するという事故はしばしば発生している。電池セルの加熱、配線の短絡など原因は幾つかに別れるが、製品評価技術基盤機構(NITE)が把握しているだけでも、2000年以降、その数は30件以上に上る。

 特に近年は、リチウム(Li)イオン2次電池(LiB)が普及し、事故被害が拡大するリスクが高まっている。電池セルに問題がなくても、周辺回路での短絡による過熱現象などが起こると、エネルギー密度の高い電池セルが熱暴走して火災などに至りかねないからだ。

 冒頭の事故は、2017年11月に東京都内で開催されたNITEの業務報告会で、調査結果について発表があったもの。やはり電池セルにはLiBを採用していた。本稿では、同報告会の資料を基に事故原因の詳細を解説する1)