2017年1月、旧東燃ゼネラル石油の和歌山工場(和歌山県有田市)で相次いで火災事故が発生した。同月18日に石油貯蔵に使っていた清掃中のタンク設備から発火。鎮火から3日後の22日午後、今度は潤滑油製造装置群で火災が発生した。小規模な爆発を伴ったその火災が鎮火したのは24日の朝だった。
旧東燃ゼネラル石油(現JXTGエネルギー)で2017年1月に発生した2件の火災事故では幸い人的被害はなかった。しかし、1月22日の火災は、有田市が同日夕方に避難指示を出す事態となり、一時は市民500人以上が避難した。
旧東燃ゼネラル石油は、事故調査委員会を設置し両事故の事故原因を調査、2017年6月に調査報告書(以下、報告書)を公開した*1。本稿では報告書を基に、被害規模が大きかった22日の事故について解説する。
地域住民3000人弱に避難指示
22日の事故は、工業製品に使う潤滑油を精製するプラントである「潤滑油製造装置群」で発生した(図1)。同日15時40分ごろ、同装置群でドーンという異常音が聞こえたことから、作業員が現場に向かうと「第2プロパン脱蝋装置」(PD-2)の機器の一部で火炎を確認し、その後、同社自衛消防隊と有田市消防本部が消防作業に当たった*2。
自衛消防隊らは「BLEVE」*3と呼ぶ大規模爆発を引き起こす可能性のある周辺機器の冷却を優先しつつ、消化活動を実施。しかし、配管から漏洩した油に引火したと思われる火災はなかなか収まらず、17時14分に有田市が工場のある初島町の全住民1281世帯、2986人を対象に避難指示を発令した。その後、BLEVEの危険性がなくなったことから、翌朝4時10分に避難指示を解除。それから1日以上経った24日8時27分に鎮火を確認した。