2013年9月17日、東日本旅客鉄道(JR東日本)の中央本線相模湖駅において、停止直前に列車が脱線してホームと接触するという事故が発生した。乗客約100人などに負傷者はいなかったが、脱線は大惨事になりかねない事故だ。脱線の原因を探っていくと、その10日余り前に高円寺駅で発生した人身傷害事故による部品の破損に発端があった。

 2015年7日30日、運輸安全委員会はこの事故に関する事故調査報告書を公表1)。事故現場の線路やホームの痕跡、事故車両の状況を調査した結果、脱線した車両において左右の輪重(車輪がレールを下方向に押す力)がアンバランスになっていたこと、そのためにカーブの外側の線路(外軌)に車輪が乗り上がって脱線に至ったことが明らかになった。

 このような“乗り上がり脱線”については、2000年3月に発生した帝都高速度交通営団(営団地下鉄、現東京地下鉄)日比谷線の脱線事故が思い起こされる2、3)。今回の事故との共通点、相違点は何か、事故調査報告書の内容から見てみよう。