蛇口に取り付け、水を流すと約3倍の長さに伸びる散水ホースの破損に関する報告が相次いでいる。報告の多くは水漏れ程度の被害だが、急に破裂したという事例もあった。巻き取り式と比べて軽量で、コンパクトに収納できるという特徴を実現するため、同ホースが採用した特殊な構造が耐久性の劣化を招いていた。

 「4カ月前に購入した伸縮式の散水ホースで水まき中、ホース中央部で内部のゴムが切れて使用不能になった」「散水ホースを使用中、シャワーノズル付近が急に破裂した」──。「全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET)」*1に寄せられる、水圧で伸びる散水ホース(以下、伸縮型ホース)に関する相談件数が年々増えている(図1)。

*1 PIO-NET 国民生活センターと全国の消費生活センターなどをオンライン・ネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているデータベースのこと。

図1 水圧で伸びる散水ホースの外観
図1 水圧で伸びる散水ホースの外観
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 2012年度以降、PIO-NETに寄せられた伸縮型ホースに関する相談は335件で、そのうち167件がホースの破損に関する相談だ。2015年度までの4年間の推移をみると、2012年度は0件だったが、2013年度は46件、2014年度は58件、2015年度は63件と増加している*2

*2 2015年度に関しては、2016年1月31日登録分までの件数。

 このような事態を受け、国民生活センターは現在市販されている伸縮型ホースについて商品テストを実施した1)。テスト対象となったのは、3000~8000円で販売されていた5銘柄だ*3

*3 神奈川県内のホームセンターで販売されていた銘柄、およびインターネット通信販売の大手ショッピングモールにおいて「伸びる ホース」で検索した際に上位となった銘柄から選んだ。