かつて「Industrie 4.0(インダストリー4.0)」が提唱された場でもある、世界最大級の産業見本市「Hannover Messe(ハノーバーメッセ)」。一時期に比べれば、インダストリー4.0をうたう展示は鳴りを潜めた。それは、つかみどころのないコンセプトだったインダストリー4.0が現実の取り組みに溶け込みつつあることを意味している。「Additive Manufacturing」「コントローラー」「ロボット」「AR/VR」という4つの軸から最新の動向をまとめた。 

 インダストリー4.0のブームは終わった─。それが、2017年のハノーバーメッセから受けた印象である*1。インダストリー4.0が下火になっているという意味ではない。むしろ逆だ。あくまで過剰なブームが終息しただけであって、インダストリー4.0のコンセプトは着々と実現に向かっていることが伺えた。

*1 2017年のハノーバーメッセは、4月24~28日に開催された。

 確かに、2016年のハノーバーメッセでトヨタ自動車が「EtherCAT」の採用を宣言したというような分かりやすい出来事が、2017年はなかった1)。しかし、ドイツの企業や業界団体、政府などによるインダストリー4.0の取り組みは順調に進んでいる。さらに、日本や米国からもインダストリー4.0と歩調を合わせる提案が見られた。

 そこで本稿では、2017年のハノーバーメッセにおいて多くの来場者の関心を集めていた「Additive Manufacturing」「コントローラー」「ロボット」「AR(Augmented Reality)/VR(Virtual Reality)」に関する企業の戦略や展示を紹介する。