急拡大するシェアエコノミー。「所有」から「利用」への価値の転換を促し、自動車産業の根幹を揺さぶる。最も注目を集めるのは、ネット配車サービスの米Uber Technologies社だろう。だが、同社を上回る勢いで急成長する企業がある。中国・滴滴出行(Didi Chuxing)だ。“シェアサービス大国”になる中国で、他社を圧倒する。米国では自動運転の研究まで手掛け始めた。中国モビリティーシェアの最新事情を報告する。
シェアリングエコノミーと呼ばれる「アセットライトビジネス」(資産を保有しない事業)が、自動車などの多くの分野で成長している。シェアエコノミーは、世界規模で起きているメガトレンド。「個人消費」から「協力的消費行動」に価値が移り変わることで、破壊的なビジネスモデルを生み出す。
英コンサルティング会社のPwC社は、シェアエコノミーの世界市場の規模が2015年の1兆7000億円強から、2025年に38兆円を超えると予測する(1ドル=114円換算)(図1)。自動車産業への影響は大きい。自動車の「所有」ではなく「利用」に価値を置く、スマートフォンを使った配車サービスが広がり続けているからだ。自動車の販売事業が縮小する可能性がある。