2020年以降の世界の燃費規制に対応するには、異種材料を使ってボディーを軽くする取り組みが避けて通れない。その鍵を握るのが、量産車にも適用できる低コストの接合法である。現行設備を大きく変えずに強固に接合する手法よって、軽量ボディーで先行する欧州勢に挑む。

写真提供:マツダ
写真提供:マツダ

 「現在、量産車のボディーには主に鋼材が使われており、アルミニウム(Al)合金やCFRP(炭素繊維強化樹脂)を使うのは高級車に限られている。しかし今後は、量産車についてもマルチマテリアル化を検討していく」──。

 本田技術研究所上席研究員の東雄一氏は、国家プロジェクトとして軽量化素材の開発を手掛ける「新構造材料技術研究組合(ISMA)」が2016年1月下旬に東京都内で開催したパネル討論会で、このように述べた。

 東氏が言う「ボディーのマルチマテリアル化」とは、高張力鋼板やAl合金、CFRPなどを“適材適所”で使い分けてクルマのボディーを造ることである。このような異種材料構成のボディーを、高級車だけではなく量産車にも適用しようという動きが、日本の自動車メーカーの中で激しくなっている。