ダイハツ工業とトヨタ自動車は2016年11月に、新型の小型ミニバン「トール/ルーミー・タンク」を発売した(図1)。Aセグメント車でありながら、Bセグメント車より車内空間を広くした。高張力鋼板の使い方を工夫して、側面衝突に対する安全性を高めた。車両質量をできるだけ抑えるために、ボディー外板に樹脂を多く使った。

図1 トヨタ自動車の「ルーミー」
図1 トヨタ自動車の「ルーミー」
Aセグメント車だが、同社のBセグメント車「ラクティス」や「bB」より広い室内空間を実現した。
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 今回の新型ミニバンは、両社が全面改良して2016年4月に発売した新型「ブーン/パッソ」のAセグメント車のプラットフォームをベースにして開発した。トヨタでは「ラクティス」(2016年8月に販売終了)と「bB」(同年7月に販売終了)、ダイハツでは「クー」(bBの兄弟車、2013年1月に販売終了)の後継車になる。これらはいずれも、Bセグメントの車両である。

 新型ミニバンの車内寸法は、長さ2180×幅1480×高さ1355mmである。これに対してラクティスの車内寸法は長さ1875×幅1420×高さ1310mm、bBとクーは長さ1935×幅1420×高さ1330mmだった。Aセグメント車である新型ミニバンの方が、これらのBセグメント車より車内空間は広く、大人5人がゆったりと乗れる。荷室も広くした。後席使用時の荷室長は500~740mmで、後席を倒すと1500mmまで拡大する。

 広い車内を衝突から守るために、ボディー骨格への高張力鋼板の使い方を工夫した。高張力鋼板の使用比率(質量比)は35%で、その内訳は引っ張り強さ440MPa級が約20%、590MPa級が約10%、残りが780MPa級と980MPa級である。