スズキは2016年11月末、小型車「ソリオ」にフルハイブリッド車(HEV)を追加した(図1)。これまでのエンジン車とマイルドHEVに加わることで、パワートレーンは3種類に増えた。燃費はマイルドHEVより15%向上しており、32.0km/Lとなった。

図1 スズキの「ソリオ」フルHEVモデル
図1 スズキの「ソリオ」フルHEVモデル
ボディーサイズや室内空間は変えずに今回、フルHEVモデルを追加した。エンジンの排気量は1.2L。競合車は、ダイハツ工業の小型車「トール」、トヨタ自動車「ルーミー/タンク」。
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 フルHEVのシステムは、駆動用モーターや大型リチウムイオン電池、インバーターで構成する。さらにマイルドHEVで採用していた、駆動力の支援機能を持つISG(スターター兼オルタネーター)や小型リチウムイオン電池も搭載する(表)。

表 スズキのハイブリッドシステムの進化
表 スズキのハイブリッドシステムの進化
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 マイルドHEVモデルのISGは発電の他、制動時の回生、エンジンの駆動力の支援、エンジンの再始動を担っていた。一方、フルHEVモデルでは、駆動用モーターが制動時の回生とエンジンの駆動力支援を担うため、ISGの役割はエンジンの再始動とエンジンによる発電に絞った。

 マイルドHEVで採用する、エンジン駆動力を支援できる機能を持つISGは、外径が大きい。一方のフルHEVでは、ISGが駆動力の支援機能を備えないため、従来のISGを使うこともできたが「今回は二つのHEVでの部品の共通化を優先した」(スズキ電動車開発部第五課長の山本通泰氏)とする。

 変速機は、これまでエンジン車やマイルドHEVで無断変速機(CVT)を採用していたが、フルHEVでは自動MT(手動変速機)「AGS(Auto Gear Shift)」を組み合わせた。

 フルHEVはモーターやインバーター、電池など部品点数が多くなり、「部品の小型化を優先する必要がありAGSを選んだ」(スズキ四輪商品第一部アシスタントCE名古屋義直氏)という。AGSはCVTに比べて小型化できる。