日産自動車は2016年11月、小型車「ノート」を部分改良して発売した(図1)。特徴は、パワートレーンにシリーズハイブリッド機構「e-POWER」を用意した点だ。最大のライバルはトヨタ自動車の「アクア」。5年遅れでの投入となったが、巻き返しを図れるか。

図1 シリーズ式のハイブリッドシステムを採用した新型「ノート」
図1 シリーズ式のハイブリッドシステムを採用した新型「ノート」
日産は同機構を「e-POWER」と名付けた。充電口はなく、ガソリンの給油のみで走行する。車両寸法は全長4100×全幅1695×全高1520mmで、車両質量は1170~1220kg。
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 日本の小型車市場においてノートは、アクアやホンダ「フィット」の後塵を拝している。同市場ではハイブリッド車(HEV)の人気が高まっており、トヨタとホンダが販売台数を伸ばす一方で、日産は市場を奪われていた。

 そんな中で小型HEVとして日産が出した答えが、ノートのe-POWER搭載車(以下、ノートe-POWER)だ。電動パワートレーンは、排気量1.2Lのエンジンやモーター、発電機、インバーター、電池で構成する。エンジンは発電機を回すだけの役割で、ガソリン燃料のエネルギーを電力に変える。従来のHEVはエンジンを駆動力に使う。

 車両開発では、競合するアクアやホンダの小型HEV「フィットハイブリッド」を強く意識した(表)。ノートe-POWERの最廉価の燃費訴求グレード「S」における燃費はJC08モードで37.2km/Lで、価格は177万2280円である。アクアの最廉価車「L」は、燃費が37.0km/Lで価格は176万1382円。CO2排出量も62g/kmと、アクアより1g/km優れた数値に仕上げた。

表 小型HEVの燃費訴求グレードの比較
表 小型HEVの燃費訴求グレードの比較
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 発売から3週間で、新型ノートは2万台超の受注を獲得した。排気量1.2Lのガソリン車もあるが、受注のうちe-POWER搭載車が約8割を占めた。ただ、気になるデータもある。受注台数の内訳を見ると、37.2km/Lの燃費を実現したe-POWER搭載車のSグレードの割合が「0%」(日産)なのだ。燃費を追求してエアコンを標準装備から外したため、実質カタログのみに存在するクルマとなった。

 消費者の購入対象となる量販グレード「X」の燃費は34.0km/Lで、価格は195万9120円。アクアの燃費は量販グレードでも37.0km/Lだ。