米Tesla Motors社の日本法人テスラモーターズジャパンは2016年9月、SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)タイプの電気自動車(EV)「モデルX」の販売を開始した(図1)。後部ドアに上下方向に開閉する「ファルコンウィングドア」を採用(図2)。狭いスペースでも乗り降りできる高い乗降性を実現した。価格は895万円(税込み)から。

図1 Tesla Motors社のSUVタイプの新型EV「モデルX」
図1 Tesla Motors社のSUVタイプの新型EV「モデルX」
同社3番目の車種。同社のセダンタイプのEV「モデルS」のプラットフォームを踏襲した。100kWhの電池を搭載したモデルの充電1回当たりの航続距離(NEDCモード)は542km。納車は2016年末から。
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図2 後席のドアに採用した「ファルコンウィングドア」
図2 後席のドアに採用した「ファルコンウィングドア」
人間の腕で言えば肘や肩に相当する関節部を持つドア。車両の前後方向から見るとL字形をしたドアで、L字の付け根が肩、L字の屈曲部が肘に当たる。
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 モデルXは、同社のセダンタイプのEV「モデルS」とプラットフォームを共通にするSUV。極端に言えば、SUV版のモデルSだが、最大の特徴は、後部ドアに採用したファルコンウィングドアである。これは、横方向に30cmの空間があればドアを開閉できるもので、狭い空間での乗り降りを可能にする。しかも、同ドアを完全に開いたときは、大人でも楽々とドアの下に滑り込めるので、雨の日も濡れにくい。

 モデルXでは、同ドアを開く際に周囲の障害物や人、天井などにぶつけないようにする配慮も施している。左右のそれぞれのドアに、超音波センサーを三つずつ配置。障害物などを検知すると、ドアの動きを停止させる仕組みを盛り込む。さらに、左右のドアに挟まれたルーフの部分にも超音波センサーを一つ配置。天井までの距離を測定し、同ドアを開く際の動きを制御する。

 車高は同ドアを閉じたときで1680mm、同ドアを全開にしたときで2200mm。同ドアを開けるには、高さ方向にスペースが求められるが、全開にしなくても乗り降りは可能だ。また、閉じる際には、同ドアに組み込んだトルクセンサーで人などとの軽い接触を検知し挟み込みを防止する。