アウディジャパンは2015年8月、全面改良したクーペ/オープンカー「TT」を日本で発売した(図1)。先代から外観は大きく変わっていない印象で、「キープコンセプト」(同社)で開発した。一方、内装やボディー、パワートレーンなどの“中身”は大幅に刷新。使い勝手や運動性能を高めた。

図1 TTの外観
図1 TTの外観
3代目となる新型TTの高性能版であるTTS(a)。先代(b)の外観と似ている。(c)は排気量2.0Lの直噴ターボエンジン。
[画像のクリックで拡大表示]

 9年ぶりの全面改良となる3代目TTは、車両寸法を先代より小さくした。「初代TTへの原点回帰」(アウディジャパン)をうたう。全長は4180mm、全幅は1830mmで、先代に比べてそれぞれ約10mm短い。

 TTはAudi社にとって、「ブランドの象徴」(アウディ)だ。1998年に発売した初代TTは、「丸みのある優雅な外観が好評で、大きな話題になった」(同社)。Audi社が訴求したい「美しさ」を、体現した車両だった。

 2代目は、その外観をおおむね踏襲した。狙いは成功し、初代から買い替えた顧客の比率は高かったという。3代目の外観を決めるに当たって、先代と同じ方針で臨むのは当然と言える。一方で、買い替えを促すために“中身”は大きく変えた。新鮮さを打ち出し、既存の顧客の購買意欲をかき立てる。

 調査会社のIHS Automotiveによると、過去のTTの世界販売台数は年間2万~3万台程度で、比較的安定に推移する。ブランドロイヤルティーの高い顧客が多く、「発売から時間が経っても売れるAudi社に欠かせない車両」(IHS Automotiveマネージャーの川野義昭氏)になっている。