トヨタ自動車は、全面改良した中型セダン「カムリ」を2017年7月に日本で発売した(図1)。同車は、米国の乗用車販売台数で15年連続1位を獲得してきた同社の主力車種。100以上の国・地域で販売され、累計台数は1800万超。だが、近年はピックアップトラックやSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)などに押され販売は減少傾向だった。
「カムリはこれまでも数値で言い表せる機能的な価値については評価されてきたと思っている。ただ、これからはこれらの機能的な価値だけでは買ってもらえなくなる。意味的な価値、例えば、理屈抜きに格好良い、あるいは意のままに走るといった顧客の心や感性に直接訴えかける価値。そうした価値を、官能のレベルまで高める必要がある。それが今回の新型カムリで目指したことだ」。同車の発表会でトヨタ自動車Mid-size Vehicle Company MS製品企画 ZV チーフエンジニアの勝又正人氏はこう胸を張った(図2)。
そして、そのために同社が取り組んできたのが「前例のない変革(アンプレシデントチェンジ)」。そこには「カムリを変えるためには何でもする」という不退転の決意が込められていると同氏は強調する。