ダイハツ工業は2017年5月、軽自動車「ミライース」を全面改良して発売した(図1)。2代目となる同車は、高張力鋼板や樹脂の使用量を増やして車両質量を先代より80kg軽くしたが、発進・加速時の走行性能を高めたため、燃費性能は変わらない。新たな車両設計・開発手法「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の適用は見送り、既存のプラットフォームをベースに軽量化した。

図1 2代目となった新型「ミライース」
図1 2代目となった新型「ミライース」
車両質量を先代車より80kg軽くしたが、発進・加速時の走行性能を高めたため、燃費性能(35.2km/L)は変わらない。
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 新型ミライースのJC08モード燃費は35.2km/Lである。今回の全面改良で「燃費性能をどこまで高めるか」が大きな注目点だったが、実際には先代車と同じ燃費にとどまった。最大の競合車であるスズキの「アルト」(同37.0km/L)に1.8km/L及ばない。

 新型車の開発責任者であるダイハツ車両開発本部製品企画部エグゼクティブチーフエンジニアの南出洋志氏は、燃費が先代車と同じになった理由を、「顧客の要求に応えて、燃費を落とさずに走行性能を向上させたため」とする。

 具体的には、エンジンとCVT(無段変速機)を統合制御することなどで、アクセル操作に対してリニアに駆動力を発生できるようにした。これにより、「発進加速」と「追い越し加速」の性能を先代車より高めた。通常、加速性能を高めると燃費は悪くなるが、新型車は車両質量を先代車より80kg軽くすることで、燃費の悪化を抑えた。「軽量化による燃費の向上分を、加速性能を高めるために使った」(南出氏)という。