ダイハツ工業は新型の軽商用車「ハイゼットキャディー(以下キャディー)」を2016年6月に発売した(図1)。従来の軽商用車とは異なるFF(前部エンジン・前輪駆動)のレイアウトを採用することで乗用車並みの運転のしやすさや静粛性を確保。一部グレードには、軽商用車では業界初となるレーザーレーダーとカメラ、超音波センサーを組み合わせた予防安全システムを搭載した。

図1 新型軽商用車「ハイゼットキャディー」
図1 新型軽商用車「ハイゼットキャディー」
(a)軽乗用車「ウェイク」をベースに後部座席をなくして2人乗りとした。(b)荷室は樹脂製にすることで汚れを落としやすくした。
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 これまでは軽商用車に対して、荷室の広さを重視する顧客が圧倒的に多かった。しかしダイハツの調査によると、近年は軽商用車に対するニーズが多様化しているという。例えば2004年に50%だった荷室使用率は2014年には45%に、2004年に133kgだった平均積載量は2014年には117kgへと低下。また現場で働く女性やシニア層が増えたことに伴い、既存車種に対して「室内のうるささ」や「足元の狭さ」、「乗り心地の悪さ」といった不満を持つ顧客も増えているという。

 同社の既存車種である「ハイゼットカーゴ(以下カーゴ)」を含め、従来の軽商用車の多くは、荷台を広くする目的で運転席の下に縦置きのエンジンを配置するFR(前部エンジン・後輪駆動)のレイアウトを採用していた。このため車室の床や運転席の座面が高く、運転席周りの空間が狭かった。また運転席の下にエンジンがあるため、車室内の静粛性の確保も難しかったという。そこでキャディーでは、車体前方に横置きのエンジンを配置するFFレイアウトを採用。同社が2014年に発売した軽乗用車「ウェイク」をベースに、後部座席をなくして2人乗りとした。