新型SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription」(以下、XC90 T8)は、スウェーデンVolvo社が日本に初めて導入したプラグインハイブリッド車(PHEV)である(図1)。PHEVでありながら、同社で最高レベルのガソリンエンジンを搭載。単なる環境先進車にとどまらないフラッグシップ車という位置付けだ。

図1 プラグインハイブリッド車(PHEV)「XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription」
図1 プラグインハイブリッド車(PHEV)「XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription」
Volvo社が日本で初めて導入するPHEV。排気量2Lのスーパーチャージャー付き直列4気筒直噴ターボエンジンに加え、前輪側にCISG(Crank-mounted Integrated Starter Generator)、後輪側にリアモーターを搭載する。発売日は2016年1月27日。車両本体価格は1009万円(税込み)。
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 「今後は、6気筒以上は造らない」。そんなVolvo社において、現在、性能面でガソリンエンジンの頂点に立つのが、排気量2.0Lのスーパーチャージャー付き直列4気筒直噴ターボガソリンエンジン「T6」だ。最高出力は235kW/5700rpm、最大トルクは400N・m/2200~5400rpm。そのエンジンに、CISG(Crank-mounted Integrated Starter Generator、ドイツZF社製)とリアモーター(同Siemens社製)といった2種類のモーターを組み合わせたのが、XC90 T8である(図2)。

図2 XC90 T8 Twin Engine AWD Inscriptionのプラグイン・ハイブリッド・システム
図2 XC90 T8 Twin Engine AWD Inscriptionのプラグイン・ハイブリッド・システム
前輪側には、エンジンのクランク軸と8速AT(自動変速機)の入力軸の間にCISGを、後輪側には、リアモーターを搭載する。Liイオン電池はセンタートンネルの内部に配置。シフト・バイ・ワイヤー方式のため、8速ATのシフトの切り替えにはSR(スイッチトリラクタンス)モーターを使う。BECMはBattery Energy Control Moduleの略、RPSはローターの位置センサー。
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 搭載する電池は、9.2kWhのリチウム(Li)イオン電池(韓国LG Chem社製)。モーターだけで最大35.4km(JC08モード)の走行が可能という。燃費は15.3km/L(同)。全長4950×全幅1960×全高1775mm、ホイールベース2985mmの3列7人乗りのSUVである。ガソリンエンジンモデルの「XC90T6」と比べて荷室容量を52L減に抑えている点も特徴。XC90 T8の同容量は262Lだが、3列目シートをたたみ込むと640Lという。