80年続けた事業はもう通用しない

トヨタ自動車常務役員の村上秀一氏
トヨタ自動車常務役員の村上秀一氏

 「創業以来の変革期を迎えている。今チャレンジしなければ、明るい未来を築けない」──。トヨタ自動車は2016年12月7日、外部の企業や研究機関などから新しいサービスのアイデアを募集し、共同開発するオープン・イノベーション・プログラム「TOYOTA NEXT」を開始した。発表会に登壇した同社常務役員の村上秀一氏の口から漏れたのは危機感だった。

 トヨタは自動車サービスの取り組みの遅れを自覚する。「自動運転や人工知能(AI)、IoT(Internet of Things)の進展でクルマ社会は大きく変化している。トヨタが(創業から)80年続けてきたビジネスモデルが通用しない時代に突入しつつある」(村上氏)。今回のプログラムでは、移動の不安を解消するサービスや快適で新しいクルマの利用を促進するサービスなど、五つのテーマで協力者を募る。2017年7月にパートナーを決定し、サービス開発を進めていく。トヨタは、保有する製品やサービス、ビッグデータなどを提供する。

 トヨタ社長の豊田章男氏はかつて、「他社とアライアンスを組む際、トヨタの上から目線が問題になる」と語っている。今回の発表会で村上氏は「学ぶ姿勢」を強調。同プログラムを成功させるカギは、はっきりしているようだ。