長いチャレンジの始まり

トヨタ自動車副社長の加藤光久氏
トヨタ自動車副社長の加藤光久氏
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 「このプリウスは、これからも続く『もっといいクルマづくり』に向けた長い長いチャレンジの始まりだ」──。トヨタ自動車副社長の加藤光久氏は2015年12月、新型プリウスの発表会でこう決意を語った。

 新型プリウスで初めて採用されたのが、新しい設計手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」だ。これにより、同社の自動車開発は新たな局面を迎えた。TNGAの目的は、単に部品の共用化や原価低減を図ることではない。賢く部品の共用化を図って「浮いた元手をもっといいクルマづくりに再投資する」(同氏)ことだ。

 トヨタがTNGAを推進したのは、これまでの開発手法に“限界”を感じたため。世界のさまざまな顧客に向けてクルマを開発する中、ボディーサイズやパワートレーンが増加し、車種数を維持することに精一杯になっていた。

 同社は車種ごとにいいクルマを作ろうと取り組んできた。だが、現地生産や法規制などへの対応も踏まえると、もっといいクルマづくりを個別最適で続けるのは困難と判断した。TNGAの導入を通じて全体最適の設計手法に大きく舵を切る。2020年にはTNGAを採用した車種を世界販売台数の約半数にまで拡大する目標を掲げる。