サービス業への転換を加速させる

Ford社社長兼CEOのJim Hackett氏
Ford社社長兼CEOのJim Hackett氏

 米Ford Motor社は2017年5月22日、CEO(最高経営責任者)の交代を発表した。2014年からCEOを務めてきたMark Fields氏が退任し、Jim Hackett氏を新たなリーダーとして任命した。Fields氏は自動運転や自動車サービスへの取り組みを加速させていたが、目立った成果や収益を上げられず、事実上の解任となった。

 新CEOのHackett氏は、老舗家具メーカーの米Steelcase社のCEOとして同社を再建させた経験を持つ。2013年にFord社に移籍し、自動車サービスを提供する子会社として2016年3月に設立したFord Motor Mobility社のChairman(会長)を務めてきた。シリコンバレーとの太いパイプもある。

 Hackett氏はCEOの就任会見で、「企業文化を変え、意思決定のスピードを上げていきたい」と意気込みを語った。企業文化の変革はすなわち、製造業からサービス業への転換を指す。同氏が子会社で進めてきた自動車サービスの開発を、全社で取り組む姿勢を鮮明にした格好だ。

 CEO交代と前後して、Ford社は北米などで人件費と人員数を1割減らすリストラ策を公表している。不振を脱して成長軌道に乗せられるか、Hackett氏の手腕が問われる。