これで燃費をごまかせない

三菱自動車副社長の山下光彦氏
三菱自動車副社長の山下光彦氏

 三菱自動車による燃費不正が発覚してから1年が経った。燃費データの測定方法や開発プロセスの見直しなど、再発防止策は機能し始めているのか。同社は2017年4月13日、社内改革の進捗状況に関する記者説明会を開いた。

 不正の直接の原因となった測定面では、測定者の「性善説」に基づいていた点を解消。走行抵抗の測定データの処理を自動的に行うシステムを導入し、「ありのままのデータから走行抵抗値を計算できる仕組みに変えた」(同社)。

 データの取得に人間が介在しないため、都合の良いデータや間違ったデータを入れることを排除できる。同社副社長で開発と品質を担当する山下光彦氏によると、走行抵抗の測定データを自動で処理するシステムの導入は「恐らく、業界初」という。

 燃費不正の根本として山下氏は、「十分な技術力が準備されていなかった」と結論付けた。課題解決の一つとして、先行技術開発では2017年4月1日に「先行車両開発部」を立ち上げた。同部を中心に先行技術を開発することを明確にした。商品企画の段階では、実際にプロジェクトがスタートする前に、商品構想をより深く練る仕組みを考案したという。こうした取り組みを断行する以外に、信頼回復の道はない。