トランプ台風、Ford社は飲まれる

Ford社社長兼CEOのMark Fields氏
Ford社社長兼CEOのMark Fields氏

 最初に飲み込まれたのは米FordMotor社だった。同社は2017年1月3日、メキシコ新工場の建設計画を中止すると発表した。同時に、米国ミシガン州のFlat Rock工場を拡張し、「製造技術革新センター(Manufacturingand Innovation Center)」を創設すると約束している。「当社はグローバル企業だが、母国はここ米国だ」。Ford社社長兼CEO(最高経営責任者)のMarkFields氏は同日、Flat Rock工場で会見を開いてこう宣言した。

 Fields氏は明言を避けるが、中止を促したのは2017年1月20日に米大統領に就任したDonald Trump氏。Ford社のトップはいち早くすり寄った。それ以降、米国第一主義を掲げるTrump氏の矛先は、トヨタ自動車やドイツBMW社などにも向かっている。トヨタは今後5年間で米国に100億ドル(約1兆1500億円)を投資することを発表した。

 Trump氏はNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しに言及。自動車メーカーがメキシコに工場を設けることを批判し、メキシコから米国に輸入されるクルマに高関税をかける可能性を示唆する。就任以降は大統領令を乱発。入国禁止の大統領令にはFord社も不支持を表明した。しばらくは、“トランプ台風”から目が離せそうにない。