かつて高級セダンやスポーツカーが担ってきた役割を、SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)が任されるようになってきた。最先端の技術や目新しい提案を真っ先にSUVに導入していく―。フランス・パリで開催された「パリモーターショー2016」では、こうした自動車メーカーの姿勢がはっきりと表れた。

 SUVはもう、主流派と言ってよさそうだ。「2011年と比べると、販売台数は2倍以上に増えている」。確かな手応えを口にするのは、ドイツDaimler社で「Mercedes-Benz」ブランドの車両の販売とマーケティングを統括するOlaKallenius氏( 同社Member of theBoard of Management)だ。SUVの販売が、想定以上の勢いで伸びているという。

 調査会社の英LMC Automotive社によると、車両全体に占めるCセグメントの小型SUVの販売シェアは、2016年に10%に達するという(図1)。一回り大きいDセグメントの中型SUVも右肩上がりの成長が予測されており、2020年にはSUVのシェアは合計で14%を超えそうだ。

図1 右肩上がりで成長するSUV市場
図1 右肩上がりで成長するSUV市場
欧州における市場動向で、2016年以降は予測。Cセグメントの小型SUVは、市場全体の10%を伺う勢い。Dセグメントの中型SUVは今後5年で販売台数が2倍に増える見通しである。(出典:LMC Automotive社)
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 オフロードに適した車だったSUVのイメージは過去のものとなった。「パリモーターショー2016」では、自動車メーカー各社が最先端の技術や目新しい提案を真っ先にSUVにまとわせていく方向性が鮮明になった。