- 主な用途:自動車ボディーの外板や骨格
- 課題:低コストの加工法や異種材料との接合法の開発
自動車ボディーの外板や骨格に、マグネシウム(Mg)合金を適用する─。燃えにくく、6000系や7000系のアルミニウム(Al)合金並みに強度が高いMg合金の登場によって、2030年までの実用化が視野に入ってきた。
Mg合金の密度は1.7g/cm³で、鉄の約1/4、Al合金の約2/3である。実用金属の中では最も軽く、炭素繊維強化樹脂(CFRP)やガラス繊維強化樹脂(GFRP)と同等だ。コストは鉄鋼材料より3倍以上高いが、Al合金とは同水準にある。「比強度」(引っ張り強さを密度で割った値)は、鉄鋼材料やAl合金を上回る。こうした特徴を持つMg合金をボディーに適用すれば、自動車をより軽くできる(図1)。
自動車ボディーへのMg合金の適用を目指す国家プロジェクトが、2017年4月に日本で始まる。その舞台は、経済産業省が設立した「新構造材料技術研究組合(ISMA)」である。同組合には鉄鋼メーカーや非鉄金属メーカー、CFRPの開発を手掛ける企業、自動車メーカーなどが参加している。自動車へのMg合金の適用に取り組むのは、非鉄金属の研究グループである。三協立山や住友電気工業、不二ライトメタルなどが、ボディー向けMg合金の板材や押し出し材の開発を行う。