• 主な用途:電動パワートレーンの駆動モーター
  • 課題:大量生産に向けた量産技術や焼結技術の確立

現在の車載の駆動モーターには、ネオジム(Nd)や鉄(Fe)、ホウ素(B)を主成分とする「ネオジム磁石」が用いられている。ネオジム磁石はその磁力の高さから、1980年代初頭の登場以降、30年以上にわたって“首位”の座を維持している(図1)。ネオジム磁石は高温になるほど逆磁場によって減磁しやすくなるので、保磁力を上げるために重希土類のディスプロシウム(Dy)を添加する。2010年の中国による輸出規制措置で重希土類の価格が高騰し、日本の自動車メーカーはネオジム磁石の資源リスクに直面した。

図1 磁石特性の推移
図1 磁石特性の推移
ハイブリッド車や電気自動車といった電動車への移行を背景に、温度特性に優れ資源リスクも小さい「ポストネオジム磁石」の開発機運が高まっている。新エネルギー・産業技術総合開発機構の資料を基に作成。
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 そこで政府は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を基軸に重希土類を使わない磁石の開発を推進している。NEDOによる開発プロジェクトの成果として、180℃において従来の1.5倍の磁性を持つネオジム磁石が2019年にも実用化される見通しだ。