• 主な用途:車載充電器、昇圧コンバーター、インバーター
  • 課題:評価の拡充と基板上での薄膜成長の安定化

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)など、電動車両の低燃費化のカギを握る主要部品がPCU(パワー・コントロール・ユニット)。PCUの材料は現在、Siが中心だが、2020年代にはSiC(炭化ケイ素)の本格普及やGaN(窒化ガリウム)の実用化、2030年代にはGa2O3(酸化ガリウム)の実用化が見えてきた(図1)。

図1 車載パワー半導体のロードマップ
図1 車載パワー半導体のロードマップ
材料の置換で小型・高性能化・低コスト化が進む。現在のSiは段階的にSiCやGaNに置き換わり始め、2030年ごろにはGa2O3の実用化が期待できる。
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 Ga2O3の利点は、次世代パワー半導体の中では最もコストが低い上、SiCやそれを上回るGaNと同レベルの性能を達成できる可能性があることだ。インバーターやコンバーターなどで構成するPCUの容積は、現在のSiの1/5以上が狙える。

 とはいっても現在、Ga2O3は実験段階。そのつなぎを担うのがSiCである。SiCは、Siに比べて損失は1/10に、駆動周波数は10倍にできる。損失の低減によってハイブリッド車(HEV)の燃費を10%程度向上できる他、駆動周波数が増えることでコイルやコンデンサーを小さくでき、PCUを小型化できる。