新型パワートレーン(駆動システム)により、動力性能を約10%向上させながら、燃費を20%向上させる─。

 2016年12月6日、トヨタ自動車はパワートレーン戦略の発表会を開いた。クルマの心臓部に当たるエンジン、トランスミッション、ハイブリッドシステムを一新。加速性能などに優れた走行性能と燃費効率の改善を両立させる。2017年以降、新パワートレーンを搭載する車種を一気に拡大する計画を明らかにした。

 新開発したエンジンは「直列4気筒2.5L直噴ガソリンエンジン」(図1)。高効率吸気ポートにより、流量アップとタンブル流強化を両立させる世界初の「高速燃焼技術」を採用して、世界最高レベルの出力と熱効率を実現している。

 「8速・10速オートマチックトランスミッション」も新開発(図2)。ギヤに新たな加工を施して歯面の摩擦係数を低くし、エネルギー伝達ロスを削減する。クラッチも、機構内の摩擦材の形状を工夫することにより、回転時のクラッチの損失トルクを約50%低減(従来型の6速AT比)し、世界最高レベルの伝達効率を達成したという。

図1 直列4気筒2.5L直噴ガソリンエンジン
図1 直列4気筒2.5L直噴ガソリンエンジン
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図2 FF用8速オートマチックトランスミッション
図2 FF用8速オートマチックトランスミッション
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 ハイブリッドシステムも2.5Lエンジン用を一新してFR(フロントエンジン・リアドライブ)用の高性能マルチステージ「THSII」を開発。高い発進駆動力と加速性能を実現した。

 2021年までの5年間で、エンジンは9機種、トランスミッションは4機種、ハイブリッドシステムは6機種を投入する予定だ。新型パワートレーンの搭載車両の比率は60%以上に拡大する。