商業施設や事務所、住宅などに加えて、交通誘導や要人警護、現金輸送まで、民間警備の対象は多岐に渡る。その一方で、慢性的な人手不足が悩みの種だ。そこで、ロボットやドローンなどを活用しつつ、警備員をスマートフォンやウエアラブル端末で「高度化」する動きが出てきている。監視カメラの画像認識技術の進化もこれを後押しする。

 東京五輪で警備需要が激増する2020年をどう乗り切るのか。日本の警備業界における喫緊の課題だ。大幅増員も難しく、高度人材の育成に時間がかかる現状において、人を中心としたこれまでの警備方法が、限界なのは明白だ。

 そこで警備業界では、自律的に動作するロボットやドローンを活用し、警備範囲の拡大や警備効率の向上を目指している(図1)。スマートフォンだけでなく、ウエアラブル端末を身に着けさせることで、警備員の警備能力の向上も図っている。監視カメラに物体認識能力を付加することで監視できる対象や範囲を拡大したり、新しいセンサーを活用することで不法侵入するドローンを検知したりする動きも出てきている。

図1 ドローンやロボット、ウエアラブルで警備範囲を拡大
図1 ドローンやロボット、ウエアラブルで警備範囲を拡大
警備業界では、人手不足を補うために、ドローンやロボットなどを活用する動きが活発化している。加えて、警備員にウエアラブル端末を身に着けさせたり、新しいセンサーを採用したりして、警備範囲の拡大や警備効率の向上を図っている。
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 第3部では、国内警備大手のセコムと綜合警備保障(ALSOK)の取り組みを例に、最新の警備事情をお届けする。