2020年の東京五輪を控え、活況に沸く日本の建設・建築業界。ところが旺盛な需要に対して作業員が足らず、慢性的な人手不足に陥っている。この傾向が続くのは明らかで、人手不足解消が業界の最も頭の痛い問題となっている。そこで自律作業可能な建機の導入や、VR(仮想現実感)技術による遠隔操作技術の開発が進んでいる。

 エレクトロニクスの力を借りて、新人には熟練工並みの、熟練工にはもっと高い生産効率の作業をしてもらう。深刻な人手不足に悩む建設・建築業界で、最も求められているシステムだ。知能化した建機を使い、熟練の技術者や技能者の代わりを務めさせたり、生産性を向上させて少ない人手を補ったりする(図1)。

図1 建機の自動化や施工現場のデータ化で人手不足を乗り越える
図1 建機の自動化や施工現場のデータ化で人手不足を乗り越える
建設・建築業界は慢性的な人手不足に悩まされている。そこで、新人でも熟練工並みの作業を実施できるような自動化・半自動化された建機の開発に力を入れている。危険な場所での作業に向けて、遠隔地から建機を操作する技術の開発も進む。こうした自動化技術や遠隔操作技術に不可欠な施工現場のデータ化にも取り組む。(左下のCGはコマツ)
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 建設業界では、人があまり行きたがらない危険な場所での作業もある。例えば、標高が高い山岳地帯にある鉱山や火山帯である。こうした場所での作業に向けて、無人の建機や遠隔操作型の建機を開発している。自律制御や遠隔操作に必要な施工現場のデータ化も進んでいる。第2部では大手建機メーカーや建設メーカーのこうした取り組みの最新事例を紹介する。