少子高齢化を背景に、日本の生産人口が減少の一途をたどっている。バブル経済崩壊後の新規採用の絞込みも相まって、さまざまな分野で「人手不足」が問題になっている。クラウド技術やロボティクス技術、ウエアラブル端末などを総動員し、人手不足を解消する動きが活発化している。

“高齢化によって高度な技能を持った労働者が退職していく一方で、少子化によって新人の採用も難しくなっている”
──セイコーエプソン 取締役 機器要素技術開発本部 本部長の奥村資紀氏

“お金を払うだけで人が集まるわけではないし、一朝一夕で人は育てられない”
──綜合警備保障 商品サービス企画部 商品サービス企画課 課長代理の関谷俊一氏

“就業者の高齢化が著しく、新規参入者もなかなか定着しない”
──PSソリューションズ 農業IoT事業推進部部長の山口典男氏

 日本の多くの産業分野で今、人手不足が叫ばれている。背景にあるのは、急速に進む少子高齢化による「生産年齢人口」の激減だ(図1)。生産年齢とは、15~64歳を指す。

図1 少子高齢化で生産人口が激減
図1 少子高齢化で生産人口が激減
日本では少子高齢化が進み、15~64歳の、いわゆる「生産年齢」の人口が減っていく。1995年で8717万人だった生産年齢人口は、2013年に7883万人になり、2030年には6773万人と1965年とほぼ同水準になる見込み。2060年には、4418万人に減り、総人口に占める65歳以上の割合は約40%になる。また、バブル経済崩壊後の採用絞り込みにより若手人材が不足し、技術継承がとどこっている。(図:総務省の「我が国の高齢化の推移と将来推計」を基に本誌が作成)
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