省人化と24時間稼働に向けて、物流現場に多様なエレクトロニクス技術が導入され始めた。ロボット、自動運転車、ウエアラブル機器、空間認識センサーなど。多くは導入の初期段階のため、“定番”になっていない。日本のベンチャー企業が、物流現場で標準的に使われる基盤技術の提供企業となることを目指すなど、開発競争は始まったばかりだ。

 「既存の物流インフラの自動化は、(一般のビジネスパーソンが抱く)イメージよりも遅れている」。多くの物流関係者はこう指摘する。一部の大手物流企業は、大規模な物流センターでロボット化を進めているが、大半の物流現場では人手に頼っているのが実情である。

 ロボット会社を買収するなど自動化に積極的な姿勢を見せる米Amazon.com社でさえ、人海戦術による現場がある。注文から1時間以内に商品を消費者に届ける「Prime Now」サービス。国内サービスエリア内の東京都心の住宅街近くに配した倉庫では、注文を受けるとスタッフがパソコンの画面で確認、鈴を鳴らして作業者に知らせる。作業者は注文の商品のある棚まで歩いて行って、手でピッキングする(取り出す)。

 同社の内情に詳しい物流業界の関係者は「採算は合っていないはずで、物流コストを度外視して消費者の利便性を追求するAmazon.com社だからできること」と言う。この関係者は「同社もいずれは自動化せざるを得ないだろう」とみる。