世界に40社以上がひしめく探し物/落し物発見用BLEタグのベンダー。デザインや想定する使われ方、重さ・寸法、屋内でタグを探す手法、屋外でタグを付けたモノを追跡する手法などでそれぞれ差異化を図っている。精密な測距技術など、最先端技術を実装した製品もある。小さなタグの中に多くの技術革新と戦略が詰め込まれている。

 2013年のクラウドファンディングでの資金調達当初から大きな注目を集め、2014年6月の製品発売後、わずか1年で200万個のBLEタグを出荷した米Tile社。その成功を見てか、探し物/落し物発見用BLEタグのベンダーは3年ほどの間に雨後の筍のように増え、今では世界で40社以上に達している(別掲の「クラウドファンディング、BLEタグベンチャーを続々育成」参照)。

 BLEタグの主な役割はビーコンを発信することだけで差異化や技術開発の余地は小さく、事実上のコピー商品ばかりになるかと推測したが、実際の製品は実に多様だ(表1)。各ベンダーはそれぞれ特徴を明確にして差異化を図り、普及へのシナリオや普及後の次の一手までを想定した製品戦略を打ち出している。

表1 主な忘れ物防止/紛失物探索用BLEタグ製品
表1 主な忘れ物防止/紛失物探索用BLEタグ製品
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 製品の差異化ポイントは、(1)デザイン、(2)寸法や重さ、電池交換できるかどうか、(3)BLEタグのビーコン以外の機能、(4)移動するモノや人の追跡が可能かどうか、(5)位置検知の精度、(6)メッシュネットワーク機能の実装、(7)追加機能に対する拡張性、に大別できる。

 まず(1)のデザインについては、製品群がほぼ2極化する。目立つデザインか、逆に目立たないデザインかだ。前者の例が、スロベニアCHIPOLO社の「Chipolo」シリーズ、米XY findables(旧XY Find it)社の「XY」シリーズ、フランスWistiki社の「WiSTiKi By STARCK」シリーズ、2016年10月に出荷が始まったばかりのQrioの「Qrio Smart Tag」などである。いずれも利用者にアクセサリーの一種として使ってもらうことが狙いだ。