異なる種類の材料同士を“くっつける” 技術、いわゆる異種材料の接合・接着技術が最終製品の付加価値を担い始めた。従来にない軽量化や高機能化が実現できるからだ。技術開発面では接合強度の追求とともに、使いやすさを重視した技術開発が加速している。世界最先端の技術動向をお届けする。
売れる!使える!異種材料接合
目次
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何でもくっつける技術が製品を強く、設計に生かせる環境がついに整う
「我々の目的である遠隔地での調査/輸送に対し、非常に大きなメリットを感じた。他社に先駆けた新しい技術が、差異化につながったと考える」。こう語るのは、ソニーモバイルコミュニケーションズ(本社東京)とZMP(同)が共同出資する、ドローン事業の新会社エアロセンス(同)で社長兼CEOを務める谷口恒氏である。…日経ものづくり
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軽量化のCFRP、安さのPP、クルマへの搭載を目指す
CFRP/PP+アルミニウム合金
三井化学が、金属との接合・接着に利用できる樹脂の選択肢を広げている。軽量化のために炭素繊維強化樹脂(CFRP)を、低コストのためにポリプロピレン(PP)を積極的に異種材料接合・接着に使用し、設計の自由度を高めようとしているのだ。日経ものづくり
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量産車への採用を狙うCFRTP、エラストマーを介してレーザー接合
CFRTP+ステンレス鋼/アルミニウム合金
「究極の軽量化材料」として自動車業界から熱い視線を送られている炭素繊維強化樹脂(CFRP)。中でも今、より大きな期待を集めているのが、樹脂成分に熱可塑性樹脂を使うCFRTPだ。日経ものづくり
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レーザー処理でPEEKを高強度接合、医療分野での高温耐久性に期待
PEEK/PA+金属
ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)は剛性が高く、耐熱性や耐疲労性にも優れる。化学薬品に接触したり、高温で消毒したりする必要がある医療機器などに適している。しかし、金属と高強度で接合する方法がないのが欠点だった。日経ものづくり
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既存の溶接・成形設備が前提、金属同士の一体化に樹脂も利用
アルミニウム合金+鋼
「日本の自動車メーカーは、生産ラインの設備を大切に長く使う。その前提を踏まえた上で、接合・接着技術も提供しなければならない」(神戸製鋼所技術開発本部機械研究所マルチマテリアル構造・接合研究室室長の槙井浩一氏)。神戸製鋼所はさまざまな接合・接着技術を研究する中で、実際に提供する技術は現実的に使いやすい…日経ものづくり
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挟んで熱をかければ接合完了、耐熱性、耐薬品性に優れるフィルム
PPS+金属
東レがポリフェニレン・スルフィド(PPS)フィルムのブランド「トレリナ」の1つとして開発した「熱接着性PPSフィルム」は、樹脂成形品に加えて、金属や繊維シートにも強固に熱接着できるのが特徴。PPSは耐熱性と耐薬品性に優れるエンジニアリング樹脂であり、「この性質を保ったまま接合に使う」(東レフィルム研…日経ものづくり
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独自のレーザー使用法を開示、顧客と共同で普及を図る
PA/PP/PC+金属
ダイセルポリマーによる樹脂と金属の接合・接着技術「DLAMP」は、金属表面にレーザーを照射して微細な凹凸を付け、そこへ樹脂をオーバーモールドして食い込ませ、アンカー効果で固定する技術である(図1)。しかし、開発企業のダイセルポリマーには、その技術を自ら使って接合品を製造する考えがない。「ダイセルポリ…日経ものづくり
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摩擦撹拌接合を取り込んだMC、「くっつける」と「削る」を1台で実現
アルミニウム合金+鋼/銅/真ちゅう/マグネシウム合金
異種材料接合は別工程を要するため、外部の業者に依頼したり、管理工数が増えたりするなど何かと面倒──。こうしたユーザーの不満を解消し得る工作機械の開発を進めているのがヤマザキマザックだ。日経ものづくり
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樹脂と金属の接合への期待が急伸、「標準規格が普及を後押し」が75%
調査テーマ「異種材料接合・接着の製品への適用」
樹脂と金属の接合・接着技術を使いたいとする回答が昨年の調査に比べて大きく増加し、異種金属同士の接合技術に並んで期待を集めた。2015年7月に発行になった試験規格「ISO19095」も樹脂と金属の組み合わせを目的としており、この規格に対して「普及を後押しする」と肯定的に捉える回答者も74.7%と多かっ…日経ものづくり