“基板レス”を支える配線技術の大きな課題が抵抗値の高さだ。大電流の電源ラインや信号劣化を避けたいアナログ・高周波(RF)信号を扱えない要因となっている。ここへ来て低抵抗化技術が相次ぎ提案され始めた。実用化によって基板レス技術の応用範囲はぐっと広がりそうだ。基板レス向け低抵抗化技術を紹介する。
基板レス技術を担う新しい配線技術では、特に(1)抵抗が大きい、(2)接続信頼性が低い、という2点が問題視されている。
(1)の主な原因は、Agナノインクなどの配線材料に含まれる導電性金属以外の溶剤だ。金属単体に比べて抵抗が大きくなる。Agナノインクを焼成すれば抵抗は1/100~1/10に低くなるものの空隙が残るなどして下がりきらない。配線層を厚くすることが難しいことなども原因となる。
配線抵抗が大きいと、数Aといった電流を流せず電源配線に使いにくい。アナログ信号や高周波信号も通しづらくなる。
そこで配線の低抵抗化技術の提案が相次いでいる(図1)。その1つが、厚配線の実現だ。既存のフレキシブル基板の配線には12~18μmのCu箔を使うことが多い注1)。対するAgナノインクの印刷には1回の印刷による配線厚が1μm未満などと、薄くなる場合が多かった。