プリント配線基板を使わず、筐体や構造部品に配線機能を持たせることで部品同士をつなぐ。「基板レス」の実現に向けた手法が続々と提案されている。樹脂部品の射出成型時に一緒に部品を埋め込んで固定したり、版なしにインクジェット印刷で配線を形成したりと、工数を増やさずに既存手法とは異なる実装を実現する。

 射出成型樹脂にICなどの電子部品を埋め込み、Agナノインクのインクジェット印刷により配線・接続する(図1)。産業機器大手のオムロンが2016年6月、新たな実装技術を発表した。従来、プリント基板が担っていた役割を筐体や構造部品などと兼ねられる「プリント基板レス」技術の1つだ。

図1 プリント基板を使わずIC間を配線
図1 プリント基板を使わずIC間を配線
電子部品を樹脂製の射出成型品に埋め込み、インクジェット印刷で接合して電子回路を形成する技術による試作モジュール。オムロンが開発した。部品埋め込みの位置精度は平面方向で±50μm、深さ方向では樹脂と電極面の段差を±数μm以内に収める。Ag(銀)ナノインクで配線や接合部分を形成しており、配線幅は150μm。
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 同社では、IoT(Internet of Things)センサーやウエアラブルデバイスといった自社製品に応用する形で、2018年頃の実用化を目指す。製品の薄型・小型・軽量化につながること、基板を筐体に取り付けるといった工程を省きつつ、印刷により配線を変更しやすく少量多品種に対応しやすいことなどを利点とする。