2016年はVR元年とも言われ、ポケモンGOを除くとメディアなどの注目度もVRがARを大きく上回る。VRがこれほど注目されている理由や、ARとVRの違いは何か。両技術は今後、互いに接点を持ちうるのか、あるいは離れていくのか。ハードウエアとコンテンツの両面で将来動向を予測する。

 ARとVR。メディアなどではしばしばセットで語られるが、現時点では全くの別物だ。HMDの寸法や重さ、利用目的、利用する映像コンテンツ、利用場所など多くの点で対極にあるといえる(図1)。

図1 これまでのARとVRの違いと将来
図1 これまでのARとVRの違いと将来
これまでのARとVRの違いをいくつかのポイントで比較した。HMDハードウエアの点でも、利用目的、そしてコンテンツの点でも大きな違いがあった。ただし最近は、ハードウエアの違いが縮まりつつある。
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 あるVRの関係者は、ARとVRの違いを「ARの映像を見るには利用者が外に出かけていく必要がある。一方、VRの映像は、向こうからこちらに来てくれる」と説明する(図2)。それを最も端的に示すのが、AR技術を使うポケモンGOだ。家にこもりがちだった多数のゲーム愛好者を一気に街中や公園などに引っぱり出した。米国では自動車に頼りがちだった人々を歩かせたことで、健康向上に貢献したという指摘もある。