NAVIGATOR'S EYE
今回の筆者は、長年にわたり世界屈指のFAトータルソリューションメーカーとしての実績を持つ三菱電機で執行役員・FAシステム事業本部副事業本部長を務める山本雅之氏です。次世代のものづくり経営に向けた同社の取り組みのポイントについてご紹介いただきます。

 ITの進化が製造業に変革をもたらしている。欧米では「Industrie 4.0」や「Industrial Internet Consortium」など、IoT(Internet of Things)の活用による事業創出や産業構造改革を目指した動きが活発になっている。さらに中国も「中国製造2025」として、先進国の自動化技術やITを積極的に取り入れる政策を推進している。

 日本でも、政府主導の「ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)」や産学連携による「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IVI)」が創設され、FAおよびITのサプライヤーやユーザーがビジネスモデルの変革について議論を始めた。先進国を中心に、製造業は「モノ(製品)」から「コト(サービス)」への転換が求められており、ITを活用したものづくりが脚光を浴びている。日本の製造業も、変革に向けた対策が不可欠である。

 三菱電機は、FA技術とITを活用したFA統合ソリューション「e-F@ctory」を2003年に提唱し、今日に至るまで生産/品質/環境/安全/セキュリティーにおけるものづくりと経営の最適化を支援してきた。最近では前出のRRIやIVIを含む産官学の取り組みに積極的に参加し、主要メンバーとして世界のものづくりに貢献している。そこで本稿では、e-F@ctoryで提唱するものづくりの将来像と、その実現に向けた三菱電機の取り組みについて具体例を交えながら述べていく。