2015年5月、トヨタ自動車がタイで発売した積載量1t級の新型ピックアップトラック「Hilux」。同車は、新興国市場をターゲットとする世界戦略車群「IMV」シリーズの中核車種だ(図1、表)。新型は、乗り心地や車内の静粛性、内装の質感を向上させるなど乗用車らしさを前面に押し出している。
同社は、今回のHiluxを皮切りにIMVシリーズの全面刷新を進めている。同年7月には同シリーズの7人乗りSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「Fortuner」でも新型車を発表(図2)。LEDを採用した切れ長のヘッドランプや、18インチのホイール、リアスポイラーなどによって、よりスポーティーに仕上げ、もともと新興国で高級車として認められていた同車をさらに上に押し上げた。残されるはMPV(多目的乗用車)「Innova」だが、こちらも近く刷新される見込みだ。
「Hiluxは乗用車としても商用車としても使えるクルマだ」。トヨタ自動車常務役員の棚田京一氏は、2015年5月21日にタイで開催された新型Hiluxの発表会でこう語った。この発言からも分かるように、同車は乗用車としての活用を強く意識したクルマだ。
Hiluxは、そもそもはラダーフレーム付きの小型商用車として開発された。しかし、近年は高級乗用車として使われるケースも増えてきている。このため、新型では、高い走破性や走りの力強さ、高い耐久性、低燃費といった基本性能を向上させつつ、静粛性、内装の質感、乗り心地の良さなどをレベルアップすることに主眼を置いた。