トヨタ自動車の新興国向け世界戦略車群「IMV」シリーズは、年間約100万台を売る同社の中核車だ。同社はそのIMVを全面刷新中で、新型車では乗り心地や静粛性などを高めた。より上級のクルマへのニーズが高まる新興国で、新たな闘いが始まろうとしている。自動車メーカー8社の新興国向け車両の開発動向を追う。
新興国 上級シフト狙え
日系8社の闘い
目次
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妥協したくない新興国の消費者
景気の減速感が漂う新興国。だが将来の成長を見据え、自動車メーカー各社は新型車を相次ぎ投入している。ピックアップトラックやSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の商品性を高め、乗用車でも多様なニーズに応えることを狙う。特に各社が力を入れるのが、セダン、小型SUV、小型MPV(多目的乗用車)とい…日経Automotive
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先進技術で乗り心地や静粛性を向上
2015年5月、トヨタ自動車がタイで発売した積載量1t級の新型ピックアップトラック「Hilux」。同車は、新興国市場をターゲットとする世界戦略車群「IMV」シリーズの中核車種だ(図1、表)。新型は、乗り心地や車内の静粛性、内装の質感を向上させるなど乗用車らしさを前面に押し出している。日経Automotive
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リアサスを変更したスポーティーなSUV
トヨタ自動車の新型「Hilux」が、「頑丈さだけでなく、乗り心地や静粛性も併せ持つ車両に仕上げた」(開発担当を務めた同社執行役員の中嶋裕樹氏)とするように、ラダーフレームを持つピックアップトラックやSUVに最近求められているのが、乗用車のような外観や乗り心地、そして操縦安定性である。日経Automotive
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やや小型の車両をIMVより低価格で
ピックアップトラックの「Hilux」やSUVの「Fortuner」で競合他社に先行するトヨタ自動車。同社を追い上げるために各社が知恵を絞る中で、三菱自動車はトヨタのHiluxやFortunerに対抗する新型車を2車種投入した。9年ぶりに全面改良して2014年11月にタイで発売した積載量1t級の新型ピ…日経Automotive
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グローバルカーを基に上級感高める
新興国に適したピックアップトラックやSUVを供給するメーカーが多い中、地域にかかわらずグローバルカーを提供することにこだわっているのがマツダだ。根底にあるのは、「世界中のどの国に行っても同じ価値を提供したい」という同社の思いだ。日経Automotive
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新装備を先取りして新たな市場作る
ピックアップトラックやSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)は、新興国では高級車として扱われ、自動車メーカーの収益には貢献するものの、初めてクルマを買う層に普及させるためには安価な乗用車が必要だ。特に新興国の中でもGDP(国内総生産)が比較的低く、今後所得が伸びていくような国では、いかに価格…日経Automotive
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7人乗りの小型SUVで新市場を開拓
ホンダは以前、世界で販売する「グローバル対応車」を日本で開発し、新興国だけでなく、先進国でも販売してきた。しかし、こうした体制では新興国のユーザーニーズに応えるのが難しかった。「新興国には専用の車両が必要」と判断した同社は、日本で新興国専用車の開発に乗り出す。その第1弾が、タイ(2011年5月発売)…日経Automotive
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低価格車でもメリハリを付けて上級感
既存の製品ラインアップで取れていない層を取っていこう──。日産自動車がそうした狙いで復活させたのが、新興国向けブランド「Datsun」だ。日経Automotive
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SUV開発と共にMPVの商品力高める
インドネシアとマレーシアを新興国の中核市場に位置付けるダイハツ工業。インドネシアでは「LCGC」に適合する排気量1.0Lの小型車「Ayla」を2013年9月から販売するとともに、同車をトヨタ自動車の「Agya」としてOEM供給している。マレーシアでは、Aylaとプラットフォームが共通の排気量1.0L…日経Automotive