大人5人分に当たる300kgも車体を軽量化させた──。ドイツAudi社が2016年3月に日本で発売した多目的スポーツ車(SUV)の「Q7」は先代モデルと比べて桁違いの軽量化を実現している(図1)。

図1 Audi社の大型SUV「Q7」
図1 Audi社の大型SUV「Q7」
ボディーやシャシーなどにアルミニウム合金と高張力鋼板を大胆に採用して300kgの軽量化を実現した。
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 「適材・適所・適量を意識して、アルミニウム合金や高張力鋼板などのさまざまな素材を使い分けて設計することで、大幅な軽量化が可能になった。この結果、燃費効率は3割以上改善され、大型SUVでもきびきびした走りを実現できた」(アウディジャパン ネットワーク開発部のテクニカルトレーニングプロジェクトリーダー、奥山昌和氏)。

 まずボディーでは、全体の質量の41%に当たる部分にアルミ合金を使用(図2)。フロントエンド、リアエンド、キャビンの外殻など、必ずしも高い強度が求められない部分が中心だ。フロントフェンダー、フロントフード、リアハッチなどもアルミ合金製となっている。

図2 Q7のボディーを構成する材料
図2 Q7のボディーを構成する材料
強度が求められる骨格部分に熱間プレス鋼板を採用する一方、フロントフードやキャビンの外殻などにアルミニウム合金を使う。
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