「革新的な技術を投入しなければ、製品企画は通らない」。高級セダン「7」シリーズの開発思想をこう語るドイツBMW社が、最先端技術を投入したのが新型車のボディーだ。異なる材料を複合的に組み合わせる「マルチマテリアル」設計を施し、従来にない軽さを実現(図1)。低重心にして走行性能を高めた。

図1 「7」シリーズのボディー
図1 「7」シリーズのボディー
量産車として初めてCFRPを使ったマルチマテリアルボディー。黒色の部分がCFRP。2枚の鋼板がつくる中空部にCFRPを骨格のように組み込むことで補強する。
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 このボディー構造を同社は「カーボンコア」と呼び、炭素繊維強化樹脂(CFRP)を使いこなしている。CFRPは鋼(鉄)に比べて10倍の強度を備える上に、質量は1/4と軽い。現状ではコストが10倍と高いが、性能的には理想的な軽量化材料だ。このCFRPの積極的な採用により、同社はボディー単体で40kgの軽量化を実現した。CFRPを組み込んだマルチマテリアルボディーを量産車で実用化したのは、BMW社が世界で初めてである。同社はCFRPを使ったボディーを今後の軽量化ボディーの中核に据える考えだ。