炭素繊維強化樹脂(CFRP)か、アルミニウム合金、あるいはマグネシウム合金か──。パラリンピックなどで使われる競技用車いす、中でも陸上競技用は技術開発が急ピッチで進んでいる。現在定着しているのは、メーンフレーム(車体)にアルミ合金を用いた車いす。これに対して、リオパラリンピックではCFRPを使った車いすに乗る選手が増えると見込まれる(図1)。

図1 CFRPをフレームに使った陸上競技用車いす
図1 CFRPをフレームに使った陸上競技用車いす
八千代工業の「極〈KIWAMI〉」(a)、オーエックスエンジニアリングの「CARBON GPX」(b)、日進医療器の「NSR-C01」である。
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 陸上競技用車いすは、平地でも30~40km/hのスピードで走り、下り坂では70km/hを超える。かなりの速度が出る乗り物である。選手は、できるだけ少ないエネルギーで漕いで、かつ意のままに扱えるようにならなければ、良いタイムを得ることができない。