自転車の走りが何となく思わしくないとき、選手が“後輪を引きずる感じ”と表現することがある。「このような感覚的な表現から改良点を見つけ出すのが、自転車メーカーの開発陣の役割」〔ブリヂストンサイクル(本社埼玉県上尾市)SPプロジェクトの中西安弘氏〕である。

 ブリヂストンサイクルの最新モデルのロードレーサー(自転車)「ANCHOR RS9」は、この引きずる感じを極力なくすよう開発された(図1)*1。同社が「PROFORMAT」〔推進力(エネルギー効率)最大化解析技術〕と呼ぶ技術に基づくものだ*2。リオ五輪では、同社が運営するサイクリングチームに所属する内間康平選手がRS9に乗車してロードレースに出場する予定。この他、数人のオリンピック/パラリンピック選手に対してフレームを供給する*3

*1 ブリヂストンサイクルはフレームを自社で開発し、外部から調達した駆動部品などを組み合わせて完成車にすることが多い。フレーム単体でも販売する。

*2 PROFORMAT Propulsive Force Maximization Analysis Technologyの略。

*3 自転車のフレームをトライアスロンの上田藍選手、パラリンピック自転車競技の石井雅史選手と川本翔大選手に供給。同じくパラリンピックの鹿沼由理恵選手、田中まい選手にはトレーニングバイクのフレームを供給する。

図1 ブリヂストンサイクルの自転車「ANCHOR RS9」
図1 ブリヂストンサイクルの自転車「ANCHOR RS9」
実験計画法を応用した「PROFORMAT(推進力最大化解析技術)」により開発した。リオ五輪代表の内間康平選手モデルのデザイン(案段階のもの)。
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